「Engineers in VOYAGE 事業をエンジニアリングする技術者たち」を読んで

ITエンジニア本大賞2021で技術書大賞と特別賞を取った本。色々なプロジェクトの具体的な話をインタビュー方式で書いてくれており、こういったところに苦労している、こうすることで解決できた、他に優先する事があるので後回しにしているなど、そんなことまで書いちゃうの?といったことが書かれている。

Web系のお話なので自分には身近な具体例がなく、ピンときたり共感出来たりする部分はあまりなかった。けれどその中で気になったのが2つ。フルサイクル開発者とドキュメント無し。

フルサイクル開発者

チームのメンバーが全員フルサイクル開発者として開発をする。フルサイクル開発者、というのを初めて聞いた。本ではNetFlixのテックブログを翻訳したページを紹介していた。

似たようなものでフルスタックエンジニアがあると思うけれど、それとは違っていてフルスタックは全ての開発を行うってイメージだけどフルサイクルは開発以外の部分、テストやサポートまでソフトに関するすべてを担当する、といったもの。だからといって全部をできるようになるのではなく(できるならそれが一番だけれど)、すべてに責任をもって動く、考えるようにするということ。

他の事を全く考えないで開発ばかりするのではなく、全体を見てビジネスとしてコストやリスクなど考えて進めていくことが大事、ということだと思う。そうしないと周りとの意識のズレや溝などが出来てどんどん辛い状況になっていくのだと思う。

ただ、チーム経験がないので見当違いな思い込みかもしれないのが辛いところ。

ドキュメントが無い

ドキュメントを書くとメンテナンスをし続けないといけないので作らず、Githubのissueを見たりコードのコメントを見たりで現状を把握するそう。そんなことができるの?と思うがエンジニアの能力が高ければそういったことも容易にできるのかな。ドキュメントを作って改版していく手間と新しく入った人が全体を理解するまでに必要な時間を比べたら前者の方がかかるとの判断。

実際に試したことがないのでわからないが、後から入る人間としてはちゃんと改版してあるドキュメントを読みたいところ。だけど昔作ったドキュメントしかなくソースを読んで理解するしかない、といった状況はとても多くあるのでそうなった際に入りやすくしておくのはとても大事だと思う。

読んでみて

もっとWeb系のことを学んだり、実際に携わることがあれば良い教本になるのかなと思う。わからなくても知らない分野の具体的なお話を聞けるのはとてもよかった。もう少しレベルが上がったらまた読みたい。そして腕力をつけたい。

改版したものが出ていた。新しい章が追加されているので次読むときはこっちかな。



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